麻生久美子インタビュー「女性らしくいたいから、夫とのデートは大切」 | Numero TOKYO
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麻生久美子インタビュー「女性らしくいたいから、夫とのデートは大切」

映画やテレビで活躍する女優・麻生久美子。コメディからシリアスまであらゆるジャンルの役を演じる彼女が2016年に挑むのは、俳優、映画監督としても活躍する赤堀雅秋による作・演出の『同じ夢』。舞台4作目となる今作への意気込みと、妻であり一児の母であるひとりの女性としての生き方について聞いた。<『同じ夢』の情報はこちら

talks#15
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舞台は自分を鍛える修行の場

──今作『同じ夢』で舞台4作目。ご自身にとって舞台とは?

「舞台は私にとって修行の場です。この先何年もそうかもしれませんが、今はまだ辛いことのほうが多いですね」

──映画やドラマとどう違いますか?

「映画やドラマは、日々終わっていくのですが、舞台は長期間続きます。だからこそ、ずっとその役でいられるし、みんなで作り上げる楽しさもある。本番に入っても少しずつ自分に変化があったり、見えてくるものがあったり。その代わり、ずっと集中力の継続が必要です。舞台でも映像でも、演じること自体は変わらないのかもしれないけれど、舞台はまだ4作目なので勉強することばかりです」

──今回は俳優としても活躍する劇団THE SHAMPOO HATの赤堀さんの作・演出ですが。

「役者同士として共演したことがあるのですが、演出家・演者としては初めて。赤堀さんの舞台は、目の前で現実の事件が起こっているような、生々しさや、重く荒々しい表現もあり、演じるにもパワーが必要だと感じています」

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人生が反映された味のある女優に

──1995年にスクリーンデビュー、1998年『カンゾー先生』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞と新人俳優賞をダブル受賞し、その後も話題作に出演と、順調にキャリアを積み重ねていますが、将来の理想像は?

「そこがあまり明確に見えていないんです。それがよくもあり悪くもあり。ただ長くなってしまったキャリアに対して、なんとなく実力が足りてない気がしていて」

──目指したい女優さんはいますか?

「一人に絞れないくらい好きな女優さんはたくさんいます。舞台だったら、大竹しのぶさん。素晴らしいですよね。原田美枝子さんも大好きですし、倍賞美津子さんもかっこいい。みなさん、プライベートもひっくるめて生き様が女優としての顔に表れていますよね」

──華やかな場にいるからこそ、プライベートの顔を見せないというスタイルもありますが。

「プライベートをあえて見せなくてもいいと思いますが、やっぱり一人の人間なので演技にも生き様が出てくるし、その方が俳優として“いい顔”になるんじゃないかと思うんです。原田美枝子さんや倍賞さんは、ありのままの自分を出している感じがすごく素敵で憧れます」

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──実生活では母親でもありますが、仕事と子育ての調整はどうしていますか。

「今は子どもとの時間を大切にしたいですね。子どもは今3歳なんですが、小さいのは今だけだから、ゆったり仕事をさせてもらえる時期は、私がずっと面倒を見ています。私の関わり方が将来のこの子に影響するんだと思うと不安になって、友だちに相談したりすることも。ママになって日が浅いので毎日葛藤しています。子どもの気持ちを聞いてどう向き合うか考えているものの、ちゃんとした答えは見つからなくて」

──来年から幼稚園ですか?

「そうなんです。どろんこになって遊ぶ園を選んだので、楽しみなのですが、お弁当が心配。今でもたまにお弁当を作るんですけど、子どもは好き嫌いがあって『コレとコレは抜いてね』とダメだしが多くて(笑)」

──子育てで得られた経験が、お仕事に反映されることもあるかもしれませんね。

「少し前から母親役をやりたいと思っていて。これまで子どもとしっかり向き合うような母親役がなかったので、とてもやってみたいです」

──現在37歳ですが、40歳に向けて一人の女性としての目標はありますか。

「母親でもありますが、夫に対しては女性らしくあり続けたいですね。仕事では年齢を重ねなければ演じることができない役もありますし、きれいに歳を重ねられるといいなと思います。色んな女優さんを見ていて、内面からにじみ出る色気や女性らしさが素敵だと思うので、内側から磨きをかけていきたいです」

──夫に対して、女性であり続けるためにしていることは?

「たまに子どもを預けて、二人でデートをしています。結婚記念日や誕生日に映画を観て、行ったことのないレストランで食事をしたり。外で待ち合わせをしたこともありました。同じ家から出るんですけど(笑)」

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役と同化する瞬間があるから続けたくなる

──女優は天職だと思いますか。

「向いてないとよく悩みますよ。そもそも女優に憧れていたわけではないし、才能がないと思いながら続けているから悩むのか……。若い頃は自分の芝居が全く好きではなかったんです。かといって今も、すごく良く出来ていると満足しているわけでもなく」

──それでも舞台で「修行」をしてまで、女優を続ける理由とは?

「数えるほどしかないんですが、役と同化できたと感じる瞬間があるんですね。そういうことがあると、この仕事はやっぱり面白いなと思うんです」

──変身願望がどこかにあるとか?

「あるかもしれませんね。子どもの頃は『クリィミーマミ』が大好きで、変身ごっこばかりしていました。それから、日常の中のちょっとした変化が好きなんです。雨が急に降り出したとか、新しい服を買ったとか。些細なことでも嬉しくなって」

──今回の舞台でも、変化する「麻生久美子」が観られるかもしれませんね。

「そうなるといいですね。今はまだどうなるのかわからなくて、ただ緊張していますけど、この舞台で何かを掴みたいと思います」

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Photos:Ayako Masunaga Stylist:Mika Nagaoka Hair & Makeup:Yumi Narai Interview & Text:Cosmos Hoshima Edit:Masumi Sasaki

Profile

麻生久美子Kumiko Aso 1978年生まれ。1995年映画『BAD GUY BEACH』(監督:あいかわ翔)で映画デビュー。1998年映画『カンゾー先生』にて日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞を始め数々の映画賞を受賞。以降、『贅沢な骨』『夕凪の街 桜の国』『ばしゃ馬さんとビッグマウス』と話題作に出演。テレビでは『時効警察』『泣くな、はらちゃん』『怪奇恋愛作戦』など。2016年は『俳優 亀岡拓次』『森山中教習所』が公開予定。

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