杉野希妃インタビュー「生死に向き合った感覚から自分が変わった」 | Numero TOKYO - Part 2
Interview / Post

杉野希妃インタビュー
「生死に向き合った感覚から自分が変わった」

talks #11 杉野希妃
talks #11 杉野希妃
女優として活躍しながら監督も務めるスーパーウーマン、杉野希妃。彼女が率いる映画制作会社、和エンタテインメントが『歓待』『ほとりの朔子』『欲動』に続き発表した最新作は、湘南・茅ヶ崎に集まった男女7人の恋模様を描く青春群像劇『3泊4日、5時の鐘』。監督を新人に託し、演者として作品に参加した彼女に、その経緯と心境を聞いた。<映画『3泊4日、5時の鐘』の情報はこちら
まさに、合宿に来ましたという雰囲気
──撮影の舞台となった茅ヶ崎館は、小津安二郎が脚本執筆のため定宿としたことでも有名な老舗旅館。全面的な撮影が許可されたのは本作が初だそうですね。 「素晴らしい場所でした。創業115年という歴史を刻んでいるのですが、佇まいは重苦しくなく、独特の陰影や匂い、天井の染みに包まれて、むしろ居心地がよかったです。自然に存在できる場所。小津監督という存在の温かみも感じたのかもしれない。緊張も何もせずに演技にすうっと入って行ける場所でした。まさに、合宿に来ましたという雰囲気でしたね」
──小さなコミュニティの中で起こる数日間の心境の変化という、とても繊細なものが描かれていました。 「その微々たる変化を映像として表現するのは簡単なようで難しいですよね。一括りにはできない感情が、面ではなくて球になって回っているというか。くるくる回っているものに、少しずつ光を照らしていくかのように描かれているんですよね」
──杉野さんはどんな環境で学生時代を過ごして来ましたか? 「高校を卒業するまでは学校からも家からも、色々なところから厳しくされて抑圧されて育ちました。そういうしがらみから解放されたいという気持ちが強く、自由になりたくて東京の大学へ。その後はずっと、フリーという気持ちが強かったと思います。色々な人と仲良くするんだけど、どこかのコミュニティに100%属するんじゃなくて、飛び込んだり引いてみたりを繰り返して生活していて。2008年に和エンタテインメントという映画会社を立ち上げたのですが、会社役員でありながら、自立心が強いかもしれません」

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