小泉孝太郎の決意「芸能人として生きようと決めたんです」 | Numero TOKYO
Interview / Post

小泉孝太郎の決意
「芸能人として生きようと決めたんです」

自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出会い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。小泉孝太郎のビフォー&アフター。

#101_きっかけ_小泉孝太郎
#101_きっかけ_小泉孝太郎
──三ツ星フランス料理店の天才女性料理人が給食のおばさんになる、奇想天外な物語、木曜劇場『Chef〜三ツ星の給食〜』で、小泉さんはレストランのカリスマ経営者、篠田章吾役です。どんな男ですか。 「篠田は天海(祐希)さんが演じる天才シェフ星野光子が総料理長を務める三ツ星フランス料理店のオーナー。感性が優れていて、経営者としての手腕は天才肌。俺と一緒にやれば、おまえの力を最大限に生かせるという、他人に対する自信は相当なものです。クールでドライだから、心の内で何を思っているのかがわかりにくい男かもしれませんね。実は、僕には料理店の経営者と料理人、どちらもプライベートで仲の良い友達がいて。レストランの内情を本音で聞いているので、篠田の役作りに生かせるんじゃないかなと思っています」 ──篠田は光子の強い味方かと思いきや、対立する展開に。コストを無視して料理を作り続ける光子との間に確執が生まれ、遂には光子を陥れるかたちでクビにしてしまいます。 「これも友人から聞いたのですが、経営者と料理人は端から見たら良い組み合わせでも、長く続けることは難しいそう。話を聞くと、どちらの言い分もわかるんです。物事をビジネスで考えなければならない経営者と、職人気質ともいえる料理人が、いつも同じ意見であるわけがない。飲食店の永遠の課題なんでしょうね。このドラマでも、経営者の冷酷な部分が多く出てきます。そんな篠田の本音、ただ冷たい人間ということではなく、苦労や葛藤も感じさせたいですね。天海さんとはドラマ『カエルの王女さま』以来。光子はスケールの大きな女性で、天海さんにぴったり。負けずにバチバチとやり合いたいです」 ──ドラマ『下町ロケット』で、主人公に敵対する悪い社長役が鮮烈でした。再び悪役を演じる感想は? 「ヒールの面白さはありますね。スポーツにたとえると、善人は団体競技に近い。協調性が求められ、“和を以て貴しとなす”みたいな。一方、ヒールは個人競技で、100メートルを何が何でも1着でゴールする!俺はすごいんだぞ!と。サッカーでいえば、どこまでもドリブルで持っていくタイプ。それが許されるのが悪役です。裏を返せば、すごく孤独なんですよ。『今日はいい天気ですね。撮影、頑張りましょう!』みたいな会話をすることなく現場に入りますから。『下町ロケット』のときも、阿部(寛)さんと会えば心苦しいし、吉川(晃司)さんにも申し訳ないと思う。内心、俺ってなんてひどい男だろう…って。ただ、篠田は社会的にうまく立ち振る舞える人でもあるので、団体競技と個人競技を行ったり来たりする気がします」 ──悪役を演じる際に心がけていることはありますか。 「軸となる天海さんから発せられる色やリズムがあると思います。それがこのドラマの核となるのですが、悪役の場合は、それに乗らない、合わせない。違うところからエネルギーを持ってきて、自分の色とリズムで押し切る強さが必要ですね」 ──悪役をやられて、俳優としての幅は広がりましたか。 「どうなんでしょうね? 生意気を言うと、僕は幅を広げようと思ってお芝居をしたことがない。人それぞれ生まれ持った色があると思うんです。僕はその色や味を数十年かけて作っていきたい。お酒にたとえると、それが日本酒なのか、ワインなのか、ウイスキーなのか。ウイスキーが日本酒になりたいと言っても、無理ですから。幸運なことに『下町ロケット』で初めて悪役をいただけたことで、今まで思いもしなかった役と巡り合えた。ありがたいことですね」

30半ばを過ぎて変わった仕事への意識

Photo:Yasuyuki Ishii
Styling:Katsuhiko Kitamura
Hair & Makeup:Takeshi Ishikawa 
Interview & Text:Maki Miura
Edit:Saori Asaka

Profile

小泉孝太郎(こいずみ・こうたろう)1978年生まれ、神奈川県出身。オーディションをきっかけに、2001年に芸能界デビュー。以降、数々のドラマやテレビ番組に出演。08年には、甲子園番組のキャスターに抜擢。現在、バラエティ『モシモノふたり』でMCを務めるなど、幅広く活躍する。10月13日スタートの木曜劇場『Chef 〜三ツ星の給食〜』(フジテレビ系 毎週木曜22:00 〜)に出演。

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