ルーヴル美術館が漫画をアートに認定!? “第9の芸術” 展を目撃せよ | Numero TOKYO
Culture / Post

ルーヴル美術館が漫画をアートに認定!? “第9の芸術” 展を目撃せよ

荒木飛呂彦『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

「サブカルチャー」は本来、メインストリームから外れたマイノリティの文化、あるいは社会に対するカウンターとして存在してきた(グリーン・デイは “アメリカの馬鹿” と歌った)。
しかし私たちが生きる現在、政府の “クール・ジャパン” 戦略に見られるように、文化の「メイン」と「サブ」は、曖昧になりつつある。

だとすれば従来「ハイカルチャー」とされてきたものがサブカルチャーに接近する、あるいはその逆の現象が起こっても、なんら不思議ではない。六本木ヒルズ内、森アーツセンターギャラリーで開催中の展覧会「ルーヴルNo.9〜漫画、9番目の芸術〜」で見ることができるのは、そうした両者の接近の結果だ。 19世紀の哲学者ヘーゲルは、芸術を建築、彫刻、絵画、音楽、詩(文学)と5つに分類した。 やがて時代が下り、芸術の形が多様化すると、演劇やダンスといった舞台芸術、映画、写真などのメディア芸術がその並びに加わり、芸術の分類は8つになった。 そして諸説あるが、9番目の芸術としてそこに列聖されているのが “バンド・デシネ” 、つまり漫画だ。 会場には『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦や『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリといった日本人作家から、ニコラ・ド・クレシーやエリック・リベルジュら現地フランスの作家まで16名による作品がパネルで展示され、装飾とセットでひとつのインスタレーションとして機能している。 展示される漫画のテーマはずばり、「ルーヴル美術館」。 作家たちが描きだしたルーヴルの物語、その数々を目にすれば、漫画が小説や映画と同じように、自立した物語表現の一つとして認められたのも頷ける。 展覧会の最後には、来館者が漫画のコマの中に入り込んで、自由に写真撮影できるコーナーがある。 漫画の面白さを再確認した後は、ぜひ “ジョジョ立ち” で記念撮影してみてはいかが? ルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9〜漫画、9番目の芸術〜」 会期/2016年7月22日(金)〜 9月25日(日) ※会期中無休 会場/森アーツセンターギャラリー 東京都港区六本木 6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52F 時間/10:00〜20:00 ※最終入場19:30 TEL/03-5777-8600(ハローダイヤル) URL/manga-9art.com 荒木飛呂彦『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

Text:Ken Suzuki

Magazine

MAY 2024 N°176

2024.3.28 発売

Black&White

白と黒

オンライン書店で購入する