臨床心理士のみたらし加奈がコロナ疲れのお悩みにアドバイス!
先日Numero TOKYOのインタグラムとツイッターでコロナ疲れのお悩みについて、たくさんのご応募ありがとうございました。その中のお悩みを臨床心理士のみたらし加奈さんがアドバイス! 知らず知らずのうちに溜まっているコロナ禍のストレスが少しでも解決の道に向かいますように。
臨床心理士のみたらし加奈がコロナ疲れのお悩みにアドバイス!
【お悩み No.1】 頭ではわかっているのに、心で理解できない時はどうしたらいいですか?
ペンネーム:あんぬ(女性、25歳、アルバイト)
「まずは今あんぬさんが感じられている気持ちは、決しておかしなことではないとお伝えをさせてください。『心では理解できない』という状況の中には、きっと『理解できない理由』があるはずです。その理由にはご自身の、「嫌なこと』や『受け入れがたいこと』があるかもしれません。だからこそ、無理に理解しようとしなくてもいいのです。もしもそれがあんぬさんに必要なことであれば、いつか思いもよらぬタイミングでストンと心に落ちる時が来るはずです。もしも『理解できない理由』が、あんぬさん自身のしんどさに繋がりそうなときは、第3者を頼ってみることも必要です。それは近しい人でも、専門家でも構いません。ネガティブな気持ちも、ポジティブな気持ちも、全部あんぬさんの大切な1部分です。どうか無理はしないで、『今の気持ち』を大切にしてみてくださいね」
【お悩み No.2】 こんな世界で子どもを持つことをポジティブに考えられないです。
ペンネーム:RiRi(女性、32歳、会社員)
「そうですよね。今現在私たちが生きている世界には、多くの『問題』があると感じています。環境問題、ジェンダーや貧困、そして教育の問題…私たちの子ども世代が生きていく上でしんどいこともある』として扱われなかったようなことも、今では取り上げられるようになりました。もちろんお子さんと生きる人生にするかどうかは、RiRiさんの選択とタイミング次第です。そして『こんな世界』を変えられるのは、私を含め『大人たち』だけなのです。未来の子どもたちが少しでも『生きやすい』と感じられる世の中になっていくために、これからもアクションを起こしていけたら…と自戒の意味も込めてお伝えさせてください。そしてRiRiさんはRiRiさんの選択を、大切にしてあげてみてくださいね」
【お悩み No.3】 女と女カップルですが、彼女が韓国人なのでもう半年ほど会えていません。今の状況をみるに、これからもしばらく会えそうにないですよね…。結婚もできないし、まさかこんな形で同性の国際恋愛がどれだけ不安定なものか感じることがあるとは思っていませんでした。将来、いつか国際の同性婚もできると信じて、ひとまず私が韓国で働けるようになれば仕事があるうちは一緒に住めるし大丈夫だと思っていたのですが…将来が不安になってきました。
ペンネーム:みみ(女性、25歳、デザイナー)
「新型コロナウイルスの影響によって『国境』というものの壁が高くなってしまったと強く感じています。みみさんの感じられている『大切な人と触れ合うことができない痛み』は、本当に苦しいものだと思います。もしかするとパートナーさんもみみさんと同じように不安を抱えているかもしれません。まずはその『不安』について、パートナーの方とお話しされてみるのもいいかもしれません。しんどくなってしまった時には、少しだけ『2人の問題』と『自分自身の問題』を切り離して考えてみて、パートナーさんだけではなく、専門機関に頼ってみてください。心と心の繋がりは、時に物凄いパワーを生み出すこともあります。この大変な状況も、いつかは必ず終わるもの。オンラインデートをしてみたり、一緒にゲームを楽しんでみたりと、少しだけ遊び心を持ちながら、その時を待ってみてくださいね。私はいつでもみみさんの味方です」
【お悩み No.4】夫婦で数ヶ月ずっとテレワークです。今までは家庭内の優しい夫しか知りませんでしたが、会社員の夫の姿を目の当たりにするようになり、仕事だと厳しい夫が自分が知らない夫に感じて違和感を感じてしまいました。嫌いになるとかではないのですが、知らないままでいたかったような複雑な気持ちが上手く消化できないでいます。
ペンネーム:ナッツ(女性、40歳、会社員)
「家にいる時間が多くなると、どうしても『知らなかった相手の一面』を知ってしまったり、相手の「嫌な一面」を目の当たりにしてしまう機会が多くなってしまいますよね。ナッツさんの戸惑い、そして言葉にできない違和感…きっと心が忙しなくなって、疲れてしまう時もあると思います。
私やナッツさん、そしてパートナーの方を含めて、人間というものは日々『顔』を使い分けながら生活をしています。そしていつだって『長所』と『短所』は紙一重です。例えば、『優柔不断』な部分が『優しさ』として評価されることもあれば、『厳しさ』が『繊細さ、細やかさ』として評価されることだってあります。もしかすると、そのパートナーさんの『仕事への厳しさ』は、仕事への熱意や細やかさに繋がっているかもしれません。一方でその『仕事への厳しさ』が、パートナーさんの“しんどい心のサイン”の場合もあるので、一度『心配している』という切り口でコミュニケーションをとられてみてください。それでもモヤモヤが残る場合は、『嫌いになることはないけれど、こんなあなたの姿を見てびっくりしている』とお伝えされることも1つの方法です。無理のない範囲で実践してみてくださいね」
【お悩み No.5】 友達にも会えず大学の授業や課題に追われてしまい、授業期間もですが夏休みに入ってもなんだか憂鬱で、ちょっとしたことで凹みやすくなってしまいました。頑張らなきゃと思いつつも、ちょっとした出来事ですぐストレスを感じどうしてもやりたくないと思ってしまったり、将来の自分の職や今後の学業が不安になったりします。コロナ禍の影響なのかははっきりわかりませんが、この辛い気持ちから抜け出したいです。かなさん、どうしたら良いでしょうか?
ペンネーム:ちゃむ、女性、19歳、大学生
「ちゃむさん、本当にしんどいですよね。1つ言えることは、今のこの世の中の状況は確実に『ストレス要因』になり得るものなので、ご自身を責めないであげてください。自分の頑張れない気持ちを『新型コロナウイルスのせい』にしたっていいんです。凹みやすくなってしまうことも、ストレスのかかる状況下では『あたりまえ』のこと。だからこそ、以前よりも目一杯、ご自身を大切にしてあげてください。頑張れなくたっていいんです。だって、こんな状況で『生きている』ことが本当にすごいことだから。辛い気持ちを抱えることはとっても苦しいことだと思いますが、それはちゃむさんが頑張ることによって抜け出せるものではありません。だからこそ無理のない範囲で身近な人に頼ってみたり、専門機関に相談してみてください。臨床心理士は、『誰かのしんどさに寄り添うための訓練』を日々、勉強しています。ちゃむさんに無理に頑張らせることがないように、私たちは存在しているのです。今はオンラインでのカウンセリングを行っている機関もあるので、興味があったらアクセスしてみてくださいね」
【お悩み No.6】 一人暮らしの家で仕事をしていると、終わらない仕事ばかりでつい切れ目なく仕事してしまい、オンとオフの切り替えができません。だんだん集中力も低下し、心も鬱鬱としてきてしまいます。うまい切り替え方を知りたいです。
ペンネーム:DH(女性、26歳、会社員)
「リモートワークの欠点は『時間のメリハリ』がなくなってしまうことだと痛感しています。自分の気力次第で夜遅くまで作業をしてしまうことで、睡眠が不規則になってしまうことも…。メンタルヘルスと睡眠は、とても密接に関係しています。もしもDHさんの睡眠が不規則になっている場合は、まずは『起きる時間』から意識をしてみてください。起きてからお仕事に取り掛かる時間の合間に、ラジオ体操をしたり、シャワーを浴びることもおすすめです。睡眠が改善されることで、1日が過ごしやすくなることもあります。(詳しくは、こちらの記事へ)
また『切り替え方』については、私自身はホワイトボードを買って、タイムスケジュールを書くように心がけています。例えば『10:00起床、11:00 作業開始、12:00 お昼休み、13:00 〇〇、17:00作業終了、18:00 夜ご飯』というように、ざっくりと1日の予定を書き込みます。そのスケジュールを目につくところに置いておくことで、気軽に切り替えができるようになりました。また家で作業をする分、『外に出ること』が切り替えの1つになることもあります。仕事と仕事の合間には、外に出たり、軽くお散歩をしてみることもいいかもしれません。ぜひ実践をしてみてくださいね」
みたらし加奈さんの初の心理学エッセイ「マインドトーク あなたと私の心の話」(HAGAZUSSA BOOKS)も発売中。
ぜひ手に取ってみて。
Edit&Text:Saki Shibata