沢尻エリカの女道「何を言われようが結局辞められない」 | Numero TOKYO
Interview / Post

沢尻エリカの女道
「何を言われようが結局辞められない」

erikasawajiri 沢尻エリカ
erikasawajiri 沢尻エリカ

“マウンティング女子” なる言葉をまさにそのまま具現化し、第1弾の好評からまもなくシーズン2も放映されたドラマ『ファーストクラス』。第1弾では女性雑誌の編集部だった舞台を、第2弾ではファッションブランド業界へと移し、引き続きその主演を務めた女優・沢尻エリカ。10代からモデルとしてキャリアをスタートし、ドラマ、映画での演技が評価されて多忙を極めた20代も残りわずか。28歳の彼女にヌメロ・トウキョウが独占取材。

「10代の頃の私なんて、ほんとクソガキだった(笑)。いろんな経験を通して “あぁ、こういうことなんだな” って大人になっていったなという実感はすごくあります」と、今と昔の心境の変化について語ってくれた。(「ヌメロ・トウキョウ(Numéro TOKYO)」2014年11月号掲載──「マウンティング女子」なる言葉を生んだドラマ『ファースト・クラス』(フジテレビ系に2014年4月期放送)が話題でした。ファッション誌の編集者って怖いのねって思われたりもしましたが(笑)。 「ファッション業界で働いている友達も面白いと言って見てくれていました。リアルだねっていう話も出たくらい、業界の中でも注目して見てもらえたのはよかったなと思います」 ──セカンドシーズンが10月から放送と、異例の早さで決まりました。前作ではエリカさん演じる吉成ちなみ以外悪女、という触れ込みでしたが、今度は「私含めて、全員悪女」。ちなみも悪女と。 「はい。今度は内容がさらにパワーアップすると思うので、ちなみも負けないように強くならざるを得ないと思います。シーズン1を撮っているときから、キャストやスタッフのチームワークがすごく良くて、その頃からシーズン2ができるといいねっていう話は出ていました。私自身もシーズン2をやるのは今回が初めて。自分にとっても久しぶりの連ドラだったし、深夜枠だったからこそ、手探りというか実験的にいろいろ試しながら作れたのは面白かったです。企画と内容がすごく挑戦的だったし、自由に作っていけるんじゃないかとも思ったし、制作の意図と私がやりたかったことが合致した結果だと思います」 ──映画と連続ドラマでは、やっていて精神的に違いますか? 「まったく違いますね。連ドラの場合、勢いが大事だったりするので、前作のときもスケジュールはかなり大変でした。ギュッと詰めて撮らないと追いつかないから、一日スタジオに入っているうちに体力もボロボロ、肌もボロボロ(笑)。来年公開予定の映画『新宿スワン』も同時期に撮っていたので、ドラマの撮影がオフの日に映画を撮ったりして…個人的には本当に大変だったけど、やり抜きましたよ」

──メンタルは強いですよね。

「はい。じゃなきゃこの仕事はやっぱりできないですよ」

──この仕事を辞めたいとか、本気で違う仕事…ちなみじゃないけど、デザイナーを目指そうかとか思ったことはありませんか?

「昔はありました。でも、表現したり芝居することが好きだから、何を言われようが結局辞められないんですよね。この仕事が本当に好きっていう気持ちと…これしかできないっていう思いもあるかな。今はあらゆることが違って見えるし、すごく充実しています。自分の気持ちも違うし、仕事に対する意欲も…すべてが違う。目の前にあることをシンプルに考えられるようになった…というのかな。すべてのことがプラスに動いてるなと感じますね。ありがたいことにコンスタントにお仕事をいただいて、それを一つ一つ、精いっぱいやっています」

──今年の夏は思いっきり遊んだとか。

「去年は単発のドラマをやらせてもらったり、そこまで忙しくなかったので、春先から緩いペースで遊んでいたのだけど、今年は自分的にも『仕事を頑張ろう!』という気持ちだったので、ガッと仕事して、そのぶんガッツリ遊ぶ!という感じですね。表現者としては、自分の中から出てくるものを大切にしているので、一つの作品を本気で集中して演じると私の場合、内面がカラカラになっちゃうんですね。だからこそ、自分へのご褒美というか、自分を取り戻すために自然の中に出かけてバーベキューしたり、サマーフェスに行ったり、120%の力で遊んであげるんです」

──メリハリのある遊び方が「エリカらしい」って、先月号の「最近どうよ?」の連載中で野口強さんもおっしゃっていましたね。

「はい。仕事したら、その分だけ遊ぶ(笑)。このスタイルはこれからも変わらないと思います。役者にもいろんなタイプがいて、作品を掛け持ちしたり、常に何かの作品に入っている人もいると思うけど、私はそういうタイプではないんですよね。集中型でバッとやる人だから、休まないと表現できないと思う。形はどうあれ、自分に合ったスタイルを確立して仕事できているので、そこはオトナになった証拠かな」

──力の入れ方がわからない時期もあっての今…ということ?

「10代はとにかく突っ走って駆け抜けましたね。でも、もう20代後半。アラサーなんで(笑)」

──お。30歳!

「そう。あと1年半ですよ、気づいたら、あと1年半でさんじゅっさい(笑)」

──どんな気持ちですか?

「超楽しみです。大パーティしようかなって今から計画中です。自分にとっても大きな区切りになりそう」

──どんな30代が理想ですか?

「基本は今と変わらないと思うけど、目指しているのは常により良く変化していく自分。芝居も一歩でも上達して、より上のステージを目指せるように。もちろん、人としても10代より20代のほうが間違いなく楽しいと思うし、20代よりも30代のほうが経験値もついて、やりたいことも全て自分でできるわけだから。楽しくなるのは当然だと思う」

──それは自分への自信もあるよね。平凡に生きている人は「未来は絶対楽しい」なんて言えないかもしれない。

「海外を見ても、年を取ることは楽しいってみんな言うと思う。日本はちょっと特殊なのかもね。10代だけが花なんて私は間違っていると思う。自分を振り返っても、10代の頃の私なんて、本当にクソガキだったもん(笑)。いい加減にしてほしいって思うくらい。自分自身に」

──でも、自分では十分にオトナで頑張ってると思ってたでしょ。

「うん。でも、イキがってただけですよね。まるで子どもでした。いろんな経験を通して“あぁ、こういうことなんだな”って大人になっていったなという実感はすごくあります」

──30代になったら、20代の自分も「若かった」って思うかな。

「思うでしょうね、きっと。少しずつそうなっていくんだと思う。人として成長して、役者としても大きくなって。オトナになるっていうのは、ハタチになりました、ハイ終わり、じゃない。人生はそれからも続いていくし、日々いろいろなことを学べるわけだから。自分で自分の成長を止めちゃいけないし、自分で止めたらもうそれまでだと思う。常に成長しようという向上心があれば、人間はいくらでも成長できると思います」

Photo:Kazutaka Nakamura 
Styling:Yasuhiro Watanabe
Hair:Shinya Makeup:Noboru Tomizawa 
Retouch:Saki Kanazawa
Interview & Text:Atsuko Udo 
Edit:Saori Asaka

Profile

沢尻エリカ(Erika Sawajiri)女優。1986年、東京都生まれ。ドラマ『1リットルの涙』(2004年)、映画『パッチギ!』(05年)の演技で数々の新人賞、映画大賞を受賞し注目を浴びる。13年には映画『ヘルター・スケルター』で第36回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。14年4月期放送の『ファースト・クラス』では地上波8年ぶりの連ドラ主演を務め、早くも10月15日からシーズン2(フジテレビ系 毎週水曜22:00~)が放送開始。15年には園子温監督による映画『新宿スワン』の公開を控える。

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